「そっこう、まるっと、めっちゃ、じみに、鬼かわいい」。漫画に出てくる台詞ではない。これらの副詞的に使われる言葉は、文化庁が全国の16歳以上を対象に行った令和2年度「国語に関する世論調査」のなかで新しい表現として挙げたものだ▼「めっちゃおいしい」という表現を使うことがある人の割合は57・9%で、16~19歳では93・1%がそう答えた。約4割の人が使うと回答した「じみに痛い」と同様に、年齢が高くなるにつれてその割合は下がっていく▼そう言われてみれば、聞き覚えがあるのは若い人達の会話を耳にするからで、周りの同年代からは聞こえてこない。例に挙がったものの「まるっとわかる」「鬼かわいい」を使う人は少数派で、全ての年代で5割以上が使い方が気になると答えた▼コロナ禍でのコミュニケーションに関しても調査した。ビデオ通話やウェブ会議で気を付ける点では「自分が話すタイミング」がトップで58・4%(複数回答可)。ただ、16~19歳が35・7%と他の年代より極端に低いことが気になる▼マスク着用、外出自粛など制約が多かったコロナ禍の2年弱。コミュニケーション能力の低下が危惧されるが、とくに子供達には果たせなかった経験をいつか実行して欲しい。これを新しい言葉でどう表現すればいいか、じみに思案する。(21・9・30)

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