カネカはベルギーに拠点を置くバイオ医薬品子会社で新型コロナウイルス向けワクチンの受託製造に取り組むと発表した。ワクチンの基になるmRNAやプラスミドDNAを微生物を培養して量産する。2200リットルの大型培養槽など一連のGMP製造設備を4月に稼働させており、「引き合いは旺盛」(広報部)という。PCR検査薬の生産も開始し、ベルギーなどに約20万回分を供給する。
 新型コロナワクチンの受託製造を計画するのはカネカユーロジェンテック(リエージュ州)。同社はメッセンジャーRNA(mRNA)やプラスミドDNAなどを微生物を培養して量産する技術を持つ。カネカは2016年に完全子会社化し、17年には稼働を目指して大型培養設備の新設を決め、ちょうど4月に稼働を始めた。
 新型コロナ向けワクチンは、mRNAやDNAなど遺伝物質を用いた開発が進んでいる。米モデルナのmRNAワクチンが米国で最初の治験を先ごろ開始し、米ファイザーもベンチャーと組んで開発に参入。4月には米イノビオが米国や中国でDNAワクチンの治験を始める予定。日本ではアンジェスが半年以内にDNAワクチンの治験入りを目指している。
 供給をスタートしたPCR検査薬はベルギーのナミュール大学が開発した簡便なPCR検査向けの試薬。新型コロナの感染者が1万人を超える同国では操業停止の工場も多いが、政府からの要請を受けて生産を強化し、医療機関や検査機関、研究機関に供給を始めた。

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