北米の石油化学プロジェクトに新型コロナウイルスの感染拡大の影響が広がっている。ノバケミカルズはカナダ・オンタリオ州におけるポリエチレン(PE)の新プラント建設とクラッカー増強に向けた作業を大幅に抑制することを決めた。米国やカナダでは、計画の延期や必要不可欠な作業だけを進める企業が増えており、シェールガスの開発によって優位な原料ポジションを生かした投資案件にブレーキがかかっている。
 ノバケミカルズはオンタリオ州における建設作業員を約90%削減する。関係者の安全と健康を最優先に位置づける方針を徹底することが背景。現段階で建設計画への影響を判断するのは時期尚早としている。
 オンタリオ州では年産45万トンのPEプラントの新設と、エチレン年産81万トン超のクラッカーを50%増強する投資計画を決めて具体化に乗り出した。総投資額は20億カナダドル(約1550億円)で、当初の予定では2021年末までに生産活動を始めることになっている。
 同社はさらにカナダ・アルバータ州のエチレン分解炉の改修プロジェクトを一時中断することも決めている。
 新型コロナウイルスの感染拡大によって、北米では石化プロジェクトの延期や建設作業の遅れが目立ち始めている。石油製品などの輸送事業を展開しているカナダのペンビナ・パイプラインと、クウェート国営石油子会社のペトロケミカル・インダストリーズ・カンパニー(PIC)による、カナダ・アルバータ州におけるプロパン脱水素(PDH)からポリプロピレン(PP)までの一貫工場の建設計画は延期が決まっている。ペンビナは経営環境が悪化していることから設備投資を抑制することにし、パイプラインやターミナルの増設計画などとともに、PHD-PPプロジェクトもその対象にした。
 このほかライオンデルバセルはテキサス州チャネルビューのプロピレンオキサイド(PO)/ターシャリーブチルアルコール(TBA)の新プラント建設を必要不可欠な作業に限定しているほか、シェルはペンシルベニア州における石化コンプレックスの建設を一時的に中断している。

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