厚生労働省医政局経済課は、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行拡大を踏まえ、医療用医薬品のサプライチェーンに長期的な影響が出ないか調査を始めた。製造や流通のどこかが「3カ月」滞った場合に安定供給に支障が出る可能性のある、代替薬のないシェアの高い医薬品を調べる。原薬供給国の中国やイタリアなどで工場停止や物流停滞が続くなか、「早急に状況を把握したい」(経済課)としている。
 経済課は25日に日本製薬団体連合会を通じて調査を要請。回答期限は30日と緊急調査のかたちとなった。安定供給が求められる医薬品はサプライチェーンに加わる関係者それぞれが数カ月~6カ月程度の在庫を抱えるとされ、不測の事態にも一定の対応力を備える。同課も新型コロナで供給網への影響を数度調査したが、現時点で大きな問題はみつかっていない。
 今回の調査も主に長期収載医薬品や後発医薬品など特許切れ品を念頭に置いているとみられる。特許切れ品向けの原薬は中国やイタリアに依存する割合が比較的高いからだ。イタリアの感染拡大が深刻化し、原薬調達の複数化の選択肢である両国で工場停止や物流の停滞といった懸念が生じるなか、医薬品供給の長期的な影響を調べる方針。
 調査では製造や流通など供給網のいずれかが「3カ月間」滞った場合、欠品や出荷制限になる可能性があり、同一有効成分の代替薬がなく、市場シェア30%以上の品目を把握する。現時点の在庫量や想定される欠品時期、支障の出る原因について報告してもらう。
 仮に安定供給に支障を来す品目があった場合、「出荷制限などを検討する」(同課)としている。

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