米国食品医薬品局(FDA)は24日、新型コロナウイルス感染の治療対策として、回復した感染者から血清を採取し、ほかの重症患者に投与することを認める方針を発表した。重症患者に対する緊急的な措置として、個別に臨床応用を認める。
 新型コロナ感染から回復した患者の血液にはウイルスに対する中和抗体が作られているため、これを他の患者に投与すれば免疫機能が強化され、重症化した症状を緩和できると期待されている。新型コロナに有効な治療薬が存在しない現状を踏まえ、FDAはこの血清療法を臨床研究の位置づけで個別に使えるようにする考え。
 新型コロナの臨床検査や治療が認められている医療機関に限り、回復した患者から採取した血清を別の重症患者に投与することを認める。血清を提供する患者は14日間以上は無症状でウイルス陰性の状態であることが条件。重症患者のみを対象とし、予防目的の投与は対象外。医師は、投与する1症例ごとに「緊急状況の治験届(eIND)」をFDAに申請して使用する。血清療法は有効期限が極めて短いため、FDAはメールで申請を受け付けてから4~8時間以内に許可を判断するとしている。
 米国でとくに感染者が急増している米ニューヨーク州は今週中にもこの血清療法のeIND制度を利用し、重症患者を対象に提供し始める予定。

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