新型コロナウイルスの北米での感染拡大を受け、現地で治験を行っている日系企業への影響が顕在化してきた。創薬ベンチャーのリボミックは、米国で実施中の治験の一時中止を決定した。抗がん剤の研究開発に取り組むベンチャーのキャンバスも、全面停止のリスクが出ている可能性を開示した。今後、2社以外でも支障が生じてきそうだ。
 リボミックが中断を決めたのは、滲出型加齢黄斑変性を対象とする「RBM-007」の第2相試験。米国で感染者数が急増している状況や米食品医薬品局(FDA)のガイダンスなどを総合的に勘案、治験に参加している高齢患者らの安全を最優先することにした。
 初回投与を終えている患者9人に対しては、責任医師の判断の下、安全性が確保できる場合にのみ計画通りに継続する。治験終了時期は2021年末を据え置いている。
 抗がん剤候補「CBP501」の米国治験を実施しているキャンバスは遅延や中止にいたっていないが、米国での治験状況は「日々悪化」(同社)と指摘。症例組み入れペースの鈍化・遅延、モニタリングの遠隔対応などの変更によるデータの混乱などを懸念事項として提示し、最悪のケースでは全面停止もあり得るとした。中断した場合は、評価可能9症例でデータをまとめ、落ち着いた段階で再開する方針。

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