新型コロナウイルスに対する治療薬・ワクチンの開発に向けて、国内製薬大手が取り組みを一段と加速している。武田薬品工業は、血しょう分画製剤の治療薬応用で米CSLベーリングなど5社と連携。各社で治療薬を共同開発し、いち早い実用化を目指す。第一三共は、遺伝子ワクチンの開発プロジェクトなどを推進する特別チームを立ち上げた。
 新型コロナの回復患者から採取した血しょうを用いて、ほかの患者に投与する免疫グロブリン製剤を共同開発する。武田薬品とCSLのほか、仏LFB、スイス・オクタファルマなども参画し、各社共通の「ノーブランド」の製剤として開発する。各社とも血液製剤関連の事業を手がけ、血液収集センターや製剤を開発・製造する拠点などがある。これらを結集して血しょう採取、臨床試験、製造などを進めていき、治療薬の早期実用化を目指す。参画企業は今後増える可能性があるという。
 武田薬品はすでに、自社独自の開発として高免疫グロブリン製剤「TAK-888」の開発を発表している。今回のパートナーシップで共同開発するのがTAK-888になるかは未定という。
 第一三共は、新型コロナウイルス感染症のワクチン・治療薬の研究開発を全社横断的に推進するタスクフォースを設置した。研究開発本部やバイオロジクス本部、製薬技術本部などの研究開発部門と、渉外やCSR関連の部門から担当者15人程度を集めた。
 研究開発などにかかわる自社のリソースを生かし、新型コロナの医療体制確立に貢献できる取り組みを検討する。まずは、独自に開発した核酸送達技術を活用し、日本医療研究開発機構(AMED)が支援している遺伝子ワクチンの開発プロジェクトに参画する。

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