この4月から新型コロナウイルス対応による自動車の生産調整が国内でも本格化する。トヨタ自動車が国内5工場7ラインで一定期間の稼働停止を実施するほか、スズキは国内製造子会社を含む全工場の操業停止に踏み切る。タイヤ業界でも31日にTOYO TIREが仙台工場を4月3~9日稼働休止することを発表。今後、感染拡大による世界的な需要の落ち込みの影響が国内の自動車部品/部材の生産にどこまで広がるか、予断を許さない状況だ。
 中国に端を発する新型ウイルスの感染拡大は自動車産業に世界的な影響を及ぼしている。感染が拡大する欧州では、自動車工場の生産停止がイタリア・スペインから英独仏などに拡大し、3月中旬には域内の少なくとも17カ国で工場が停止した。北米へも影響は及んでおり米自動車3社、ホンダ・トヨタも操業停止を決定。アジア地域でも入国や移動の制限が図られ、中国も工場の再稼働も始まっているものの、稼働率は低い状況が続いている。海外についてはマツダもメキシコ拠点で3月25日から約10日間、タイ拠点で3月30日から約10日間の操業休止に入っている。
 自動車各社が発表した2月の生産実績ではトヨタ自動車はグループの世界生産および国内生産ともに5カ月連続で前年割れ。日産自動車もグローバル生産が前年同月比28・5%減、国内生産が同29・3%減とともに3割近い落ち込みとなるなど、各社厳しい状況が続いている。今月から本格化する国内での生産調整は低迷する新車販売に対応するもので、状況によっては期間延長の可能性も否定できない。
 一方、タイヤメーカー業界ではアジア地域において、現地政府の要請などにより工場の操業が止まっているほか、欧州では拠点を展開するブリヂストンが稼働停止を含む生産調整を実施している。31日のTOYO TIREの発表も世界的な需要の落ち込みへの対応が目的。在庫を確保できていることから、輸出比率の高い仙台工場を7日間休止するもので、今回の感染拡大に対応した国内タイヤ製造拠点の操業休止はこれが初となる。

◆自動車各社の国内自動車生産の調整計画(工場 停止期間)

トヨタ
 高岡工場 第1ライン 4/3~7の3稼働日
 堤工場 第1・2ライン 4/3~7の3稼働日
 田原工場 第1ライン 4/3~10の6稼働日
 田原工場 第3ライン 4/3~14の8稼働日
 トヨタ自動車九州 第1ライン 4/3~15の9稼働日
 日野自動車 羽村工場 第1ライン 4/3~6の2稼働日

日産
 追浜工場 4/3、13、24、5/1の車両生産停止
 栃木工場 4/6~10、4/13~17、4/20~22、5/1の車両生産停止
 日産自動車九州 4/2~3、4/6~10、4/13~17、4/20~24、4/27~30の夜勤での車両生産停止(昼勤のみ稼働)、5/1の車両生産停止

ホンダ
 埼玉製作所 狭山工場 完成車ライン 4/16~17(2稼働日)
 熊本製作所 二輪完成車ライン 4/13~14(2稼働日)

マツダ
 本社工場および防府工場 3/28~4/30までの間、13日間の操業を休止

スズキ
 全工場(湖西工場、磐田工場、相良工場、大須賀工場、浜松工場)および国内製造子会社 4/1~3の3稼働日

三菱
 水島製作所第1組立ライン(軽自動車) 3/27~4/10

◆国内タイヤメーカーのタイヤ生産状況

ブリヂストン
 北米・中南米のタイヤ工場:3/21頃~4/12頃の予定で一時的に稼働停止(稼働停止時期は工場毎に異なる)
 欧州のタイヤ工場:バリ工場(イタリア)及びべチューン工場(フランス)が4/6までの予定で一時的に稼働停止
 ビルバオ工場(スペイン)、プエンテミゲル工場(スペイン)、ブルゴス工場(スペイン)、スタルガルト工場(ポーランド)、
 ポズナン工場(ポーランド)、タタバーニャ工場(ハンガリー)は、当初計画よりも生産量を落として稼働中

住友ゴム
 南ア・タイヤ工場で3/27~4/16停止予定

横浜ゴム
 フィリピン(タイヤ):現地政府からの要請で操業停止
 インド(タイヤ):全土封鎖で3/25から25日間操業停止
 中国:既に操業再開。稼働率はタイヤ5~6割

TOYO TIRE
 マレーシア:停止中(活動制限令に基づく停止、再開時期については状況をみて判断する予定)

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