新型コロナウイルスの感染拡大は世界規模でフラットパネルディスプレイ(FPD)の需要減退に拍車をかけている。3月以降、中国の生産が回復に向かうのに反し、欧州や米国での感染が拡大している。都市封鎖による消費活動の激減、企業の売上高減少などにより欧米をはじめ世界的に消費活動が冷え込み、第2四半期のテレビやスマートフォンなどのFPD需要が急減速する見通し。
 新型コロナウイルスが発生した中国は物流の停滞や部材不足による生産面およびサプライチェーンで課題を抱えていたが、3月以降は回復に向かっている。一方、欧州や米国で感染者が急拡大し明暗が鮮明になりつつある。
 調査会社DSCC(ディスプレイサプライチェーンコンサルタンツ)は、2020年の世界テレビ市場は前年比10%減の2億3300万台に落ち込むと試算する。1月時点の従来予測は、ユーロカップや東京オリンピックなどもあり2%増としていた。
 20年第1四半期は世界全体で前年同期比15%減を予想する。中国は同27%減、2月単月は45%減と大きく落ち込んだ。中国国内のテレビの店頭販売比率はその半数の需要を失い、店頭販売のシェアが40%以下に減少。第2四半期は中国が前年同期比5%減にまで回復するのに対し、欧米は40%減、世界全体は19%減を見込む。外出規制緩和時期が延長されれば、さらに減少するとしている。
 また、中国が早期に回復する一方、欧米需要は落ち込むというシナリオでは、中国市場に強いブランド・デバイスメーカーが生き残り、欧米市場頼みのブランド・サプライチェーンが苦境に陥り、勝ち負けが鮮明になる。

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