新型コロナウイルスワクチンの開発で、新たに2つのワクチン候補が最終段階の臨床試験に入った。米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は、他社を上回る6万例規模の第3相臨床試験(P3)を米国などで開始。他社より少ない1人1回接種で、有効率60%を目安に有効性などを検証する。米ノババックスは英国でP3を開始。欧州での承認申請を目指す。

 J&Jは、最初のP3(ENSEMBLE試験)を米国、中南米、南アフリカで開始した。目標症例数は最大6万例。コロナワクチンの臨床試験としては世界最多の症例規模になる。3割以上を60歳以上の被験者にし、既往症がある人も含める。他社は1人3~4週間隔で2回接種するスケジュールで臨床試験を行っているが、J&Jは1回接種で実用化を目指す。主要評価項目はPCR検査による陽性率で、目標有効率は60%以上。陽性例が164例に達した時点で中間評価する。

 早ければ年内にも試験の速報結果が判明し、年明け頃にも米国の緊急使用許可などによる供給が可能になるとみている。2回接種のP3も英国で始める予定。日本では2回接種のP1を実施中。

 ノババックスは最初のP3を英国で開始。健康成人に限定せず18~84歳を最大1万例登録する。21日間隔で2回、筋肉内注射する。主要評価項目は他社と同様に陽性率。基準とする陽性例数の67%が報告された時点で中間解析を行う。一部の症例では季節性インフルエンザのワクチンも接種する。試験結果を見て欧州域内で承認申請する方針。

 同社のワクチンは原薬をインド血清研究所や富士フイルムの米子会社、アジュバント(免疫増強剤)をAGCの米子会社などが受託製造。来年中ごろには最大で年20億回分を生産できるようにする。日本向けは武田薬品工業が供給する予定。 

 欧米を中心に開発されているコロナワクチンでは、英アストラゼネカ、米ファイザーなどに続き計5つの開発品が最終段階にきた。

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