米国で新型コロナウイルスワクチンの接種が始まる。米ファイザーと独ビオンテックが共同開発したワクチンの緊急使用が許可され、工場から全米各地への出荷が始まった。両社のワクチンは超低温管理が必要なメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンだが、米物流大手やドラッグストアなども連携して円滑な流通体制が準備されているようだ。

 米国食品医薬品局(FDA)は現地時間11日深夜、両社のコロナワクチンを16歳以上に接種する緊急使用許可(EUA)を出した。米国で緊急承認された第1号のコロナワクチンになる。13日には、ミシガン州にあるファイザーの製造拠点からワクチンが初出荷。米物流大手のUPSやフェデックスにより全米各地の接種拠点などに輸送され、14日にも接種が始まる見通し。両社のワクチンはセ氏マイナス70度前後の超低温保存が必要だが、10日間は保管できるという専用の保冷ボックスを活用して輸送する。

 まずは医療関係者や介護施設関係者などが接種対象。来年2、3月頃には一般向けにも接種を開始し、米政府は同月末までに約1億人への接種を完了させたい考え。ウォルグリーンやウォルマートなど現地の薬局・小売り大手も協力し、ワクチンを接種できる薬剤師や店舗を提供する。

 ファイザーは、米国向けにはまず1億回分を供給し、来年以降5億回分を追加できる契約を政府と結んでいる。全世界向けには年内に5000万回分、来年末までに最大13億回分を供給する。日本には来年上期までに1億2000万回分を供給する予定。

 米国では、米モデルナがEUA申請したコロナワクチンについても、17日に専門家らが許可を審議する予定。同ワクチンも使用許可が出れば、米政府は年内に約4000万回分を確保できると見込んでいる。

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