新型コロナウイルスに対するワクチン開発が各国で進展している。先ごろ米国で第1相臨床試験の中間データが報告されたのに続き、中国でも同時期に開始された第1相試験の結果が発表。試験の主目的である安全性について問題ないと評価し、ウイルスに対する免疫反応も認められた。欧米では、英アストラゼネカ(AZ)と英オックスフォード大学のワクチンが、1万人規模の第2/3相試験を英国で開始。日本では、7月の治験入りを目指すアンジェスが、非臨床試験の順調な経過を報告した。

 中国のカンシノ・バイオロジクス(康希諾生物)は22日、第1相試験の中間結果を英医学誌「ランセット」で発表した。3月後半から武漢市で行った試験で、108例分のデータをまとめた。主要評価項目は接種から1週間以内の副反応。接種部位の痛み、発熱、めまい、頭痛などが約半数で報告された。グレード3の副反応は10例あり、重篤なものはなかった。

 有効性についても、免疫反応の傾向を確認。1回の接種で14日以内に中和抗体が産生され、28日目にピークを迎えた。T細胞応答の誘導も確認した。ウイルスに結合する抗体の量は、28日以内にほとんどの症例で4倍以上に増加した。

 同ワクチンは先月中旬から中国で第2相試験に進んでおり、カナダでも臨床試験が始まる予定。カンシノは現地企業からmRNAワクチンを導入して開発することも決めている。

 英国でも大規模治験が始まる。オックスフォード大は22日、AZと開発するワクチンの第2/3相試験の開始を発表。1万例超を登録する。1000例を登録したP1試験結果はまだ発表されていない。AZは米政府からも12億ドルの開発支援を獲得し、来年にかけて10億本以上の供給を約束している。

 日本では25日、DNAワクチンを開発しているアンジェスが非臨床試験の経過を報告。動物試験で抗体価が上昇したことを確認した。毒性試験を行ったうえで、7月にも大阪で臨床試験を始める予定だ。

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