「新型コロナウイルス感染症対策に1000億円以上の資金が必要」-。日本製薬団体連合会と日本製薬工業協会はこんな試算をまとめ、政府に連携を要望した。治療薬やワクチンの早期開発・供給、抗菌薬のサプライチェーン確保などを具体策として掲げており、政府による新型コロナの緊急経済対策に盛り込めるか検討が進む見通し。
 要望は両団体が厚生労働省や自民党と協議を進めてきた個別案件をまとめたもの。このうち最も大きい資金を必要とするのは「抗菌薬原料・原薬の国内製造工場設立の公的支援措置」の300億~500億円。
 ペニシリンなど標準的な抗菌薬10種の骨格原料(母核)の製造は中国など海外に依存し、新型コロナ感染拡大にともない調達が困難になる恐れが指摘されている。日薬連によると、1~2つの母核の工場を国内に新設した場合に試算額相当の費用補助が必要という。
 治験や臨床研究を通じて治療薬としての有効性確認が進められている抗インフルエンザ薬、抗HIV薬、すい炎薬の薬事承認などに向けては240億円、新薬やワクチンの開発には300億円をそれぞれ要すると示した。
 このほかに、新型コロナをはじめとする感染症治療薬・ワクチンを研究開発する製薬企業を呼び込むためのインセンティブ付与も要望。具体的に国による備蓄と買取保証制度、製造販売承認取得報奨制度、市場独占期間の延長制度、薬剤プロファイルに基づく薬価事前相談制度といった施策を求めている

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