横浜市立大学と東ソーなどの共同研究グループは、新型コロナウイルス感染症から回復した人について、ウイルス感染阻害能を持つ中和抗体などの経時変化の調査結果を発表した。日本在住者の497例を対象に感染6カ月後と1年後の血清の解析を行ったところ、感染1年後でも多くが検出可能な量の中和抗体を有し、重症例では全ての変異体に対する中和抗体を維持していた。今後、新たな変異株に対する抗体保有状況を集団レベルで検証する予定。

 2020年1月から8月の間に同感染症と診断された日本在住者を対象に感染6カ月と1年後に採血し、東ソーの抗体試薬などを用いて血清中の新型コロナウイルスに対する抗体価と中和抗体価を定量的に測定した。その結果、感染6カ月後から1年後にかけて中和抗体価は「297」から「222」へと推移し、減少傾向にはあるものの感染1年後も維持されることが分かった。

 検査時期にかかわらず、重症例や中等症例の方が、軽症例よりも中和抗体価は高値だった。また、軽症例の20~30%では、感染6カ月後にはすでに変異株に対する中和抗体の消失が起こっていた。変異株に対する抗体価(SP―IgG抗体価)でも重症例は感染1年後でも高いままで、変異株ウイルスを中和する活性も維持されていた。

 今回の調査には20代から70代までが参加。発症時の重症度は、無症状・軽症79%、中等症16%、重症5%だった。

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