塩野義製薬は3日、新型コロナウイルス抗体検出キットを研究用試薬として発売したと発表した。IgG抗体とIgM抗体の2つを免疫クロマト法(金コロイド法)で測定できるのが特徴。当面、保険適用は目指さない考えで、既感染者数の把握を目的とした疫学調査・研究用に展開する。病院や検査施設、研究機関のほか、医師の判断の下での利用を前提に自治体や企業にも供給していく。

 提携先のマイクロブラッドサイエンス(東京都)が輸入元となり調達した中国・江蘇省の南京諾唯賛生物科技有限公司(ヴァゼム・バイオテック)の製品を塩野義が直接販売する。採取した血液を滴下後、10分で判定できる。1キットで50テスト分で本体価格は14万円。

 3月に塩野義は同キットの導入に向けてマイクロブラッドサイエンスと協議を開始し、その後、国内での臨床データ収集を進めていた。性能評価の結果や抗体検査全般についての関連学会からの提言などを踏まえ、診断やPCR検査前のスクリーニング検査としてではなく、疫学調査向けに適していると判断した。

 一方、治療薬開発ではライフサイエンス領域に軸足を置く人工知能(AI)スタートアップのシンセティックゲシュタルト(SG、東京都)との連携を決めた。塩野義と北海道大学が見出した候補化合物に、SGのAI創薬の手法を活用。開発効率化につなげる。

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