日医工の田村友一社長は18日、同日に開催した決算説明会で同社の急性膵炎治療薬「フサン」を増産する考えを明らかにした。フサンは、新型コロナウイルス感染症治療薬候補の一つとして期待を集めている。今後の需要増が見込まれるなか、安定供給の観点に基づき、愛知工場(愛知県)での設備投資を決めた。年100万本体制を整え、2021年1月の稼働を目指す。

 フサンは鳥居薬品から日医工が承継した長期収載品で、足元の処方量は年間60万~70万本となっている。新型コロナウイルスの世界的な流行が続くなかで、3月には東京大学の研究グループが新型コロナウイルスへの有効性を示唆する発表を行っている。

 このため、新型コロナウイルス感染症治療薬として承認を受けた場合を見据え、今回、日医工は能力拡大を決定。年100万本体制を敷くこととした。また、他社委託なども進め、同300万本体制の構築も急ぐ。

 一方、国内外で進んでいる臨床研究に対して、無償でフサンを提供する。国内では東大が同大附属病院や国立国際医療研究センター(NCGM)などと連携、特定臨床研究を進めている。英国でもオックスフォード大学とエディンバラ大学による有効性を評価するための共同研究が立ち上がり、日医工は必要とするフサンを寄付している。

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