伊藤忠エネクスの岡田賢二社長はこのほど開催した2020年3月期の決算説明会で、新型コロナ終息後の事業戦略について語った。

 同社は現在取り組んでいる中期経営計画で当初は累計投資額600億円を予定していたが、新型コロナの影響で170億円減額することになった。その理由について「今はなかなか対面で商売しにくい状況だ。当社の今期の投資活動はどうしても抑制ぎみにならざるを得ない。足元で進めている商売の延長線上にさまざまな商機があると考え、堅実な投資に終始することになるだろう。思い切ってまったく新しい案件に投資するというのは少し抑制ぎみに考えなければならないだろう」と述べた。

 続けてコロナ終息後の戦略について「オンライン上でのやり取りが増えている。きっと新しい試み、想像力がわくようなことが増えてくると思う。当社社員が先日、オンラインで同期会を5時間もやったが、オンラインのほうが言いやすいこともあるのかもしれない。私自身が始めてみようと思っているのだが、当社のお客様とオンラインの画面上でやり取りしたらどのようなことが起こるのだろうかと関心を抱いている。1対1や複数人などさまざまなやり方がある。次の世の中がどうなるのか、想像力やクリエイティブにものを考える力が非常に試されるという思いを強くしている。コロナの影響で世の中が後退するというよりも、大きなパラダイムシフトが起きる可能性がある」と前向きに捉える。

 同社に求められる役割について「そう考えたとき商社である当社には、モノ・コト・情報を新たにつなぎ直す、ネットワーク化するということが大きく求められるだろう。当社にはカーライフ部門やホームライフ部門(ガス販売事業)で組織しているエネクス会がある。これまでもお客様とのネットワーク化を当たり前にやってきたが、これをIT化してもっと何かができないかということを深く考えていきたい。これまでの通勤時間が交流の時間に使える。今までよりも面白い関係が築けるのではないか。具体的にこうというのはなかなか言えないが、そこら辺が今後の事業戦略の大きなキーワードだろうと思う」と締めくくった。

試読・購読は下記をクリック

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

新型コロナウイルス関連記事一覧へ

新型コロナウイルスの最新記事もっと見る