東京大学医科学研究所の真下知士教授らは、ゲノム編集技術「CRISPR(クリスパー)」を用いて新型コロナウイルスを迅速に検出する診断法を確立した。昨年発表した日本発のゲノム編集ツールを使って微量のウイルスRNAを検出する手法を開発した。サンプル数十個を最短40分以内に検出できるという。査読前論文として、初期の研究結果を公開するウェブサイト「BioRxiv」に掲載された。この研究成果を応用し簡易検査キットの実用化を目指す。

 真下教授らは昨年12月、新たなゲノム編集ツール「クリスパー・キャス3」の開発に成功。この技術を用いて、微量のウイルスRNAを検出する手法「CONAN法」を新たに開発し、新型コロナウイルスの診断に有用なことを確認した。新型コロナ患者由来のサンプルを用いた実験では陽性一致率90%、陰性一致率95・3%を記録。PCR検査と同等の感度、特異度が期待できるとした。検出にかかった時間は最短40分だった。

 研究チームはこの成果を応用して、新型コロナに対する検査キットを開発する。キャス3のライセンス事業などを行う大阪大学発ベンチャー、C4Uを通じて実用化する。インフルエンザA型についても同じ方法で検出に成功しており、新しいインフル診断法の開発も進める。

 ゲノム編集技術による新型コロナ検査では、米マンモス・バイオサイエンスも「クリスパー・キャス12」を用いた検査法を確立し、英グラクソ・スミスクライン(GSK)と提携して検査キットを開発している。

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