米国立衛生研究所(NIH)は現地時間25日、新型コロナウイルス(COVID-19)に対する治療薬として、米ギリアド・サイエンシズの抗ウイルス薬「レムデシビル(一般名)」の臨床試験を開始したと発表した。米国の医療機関で最初の症例登録が行われた。計400例弱の症例を対象に、COVID-19に対する同剤の有効性や安全性を確認する。治験実施施設を増やしていき、海外も含め最大50カ所で行う計画だ。同剤を用いた臨床試験は中国でも進行中だが、米国で本格的な試験が行われるのは初めて。
 第2相臨床試験(P2試験)として、ランダム化・二重盲検・プラセボ対照の試験を開始した。目標症例数は394例で、レムデシビルとプラセボを投与する2グループに分けて行う。評価項目は、死亡~全快まで7段階で評価した時の症例割合など。1日1回の頻度で10日間投与し、まず15日目の症状を確認する。100例分のデータを得た時点で、評価方法などを見直す予定。
 最初の症例は、ネブラスカ大学メディカル・センターで、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」に乗船していた米国人が登録された。実施施設は順次増やしていき、海外も含めて最大50カ所で行う計画。
 日本が同試験に参加するかは不明。日本政府は医師主導治験として同剤の有効性、安全性を検証する試験を行う方針。ギリアド日本法人によると、日本での試験についても米本社から直接治験薬が供給される体制になっているという。
 レムデシビルはギリアドが開発中の抗ウイルス剤。別のコロナウイルスが原因の重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)に対する有効性が動物実験で示唆され、直近ではエボラ出血熱に対する治療薬として臨床試験が行われていた。
 レムデシビルを用いた新型コロナ対象の臨床試験は中国でも複数進行中で、同剤のジェネリック医薬品の製法を確立したという中国企業も出てきている。

試読・購読は下記をクリック

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

新型コロナウイルス関連記事一覧へ

ライフイノベーションの最新記事もっと見る