新型コロナウイルスの日本における感染拡大の影響が、国内製薬・医薬品関連企業に広がりをみせている。これまで日系大手が主だった在宅勤務やフレックス制活用などの動きが、外資系や中堅・中小、さらには卸や医薬品開発支援機関(CRO)でも相次ぐ。一部企業は、医薬情報担当者(MR)の活動自粛も決めた。流行終息の兆しがみえないなか、各社は手探りの対応を余儀なくされている。
 ファイザーは、2月28日から3月13日にかけ、MRを含めた外勤社員の訪問などを自粛し、原則、在宅勤務としている。従来とは逆に「出勤する際には上司の許可が事前に必要」(同社)。要請があった時のみ医療機関や特約店を訪れる。
 塩野義製薬では、「在宅勤務や時短勤務を推奨」(同社)している。協和キリンの場合、2月21日から当面の間、在宅勤務を基本とする勤務形態に移行した。参天製薬も、内勤者は原則としてテレワーク。日本血液製剤機構(JB)は、月末までMRは原則的に在宅勤務とする。
 後発医薬品(ジェネリック医薬品)メーカーでは、沢井製薬が2日から13日の間、MRの病院などへの訪問自粛を打ち出した。「万一にもウイルスを媒介することがあってはならない」(同社)として、踏み込んだ決断を下した。対象者は全国で約400人。副作用調査などMR活動が必要なケースでは電話やメールによる対応も検討する。
 点眼液を中心としたジェネリックを手がける日東メディック(富山県富山市)は3日から順次、公共交通機関を利用する従業員を原則、在宅勤務に切り替える。出勤する場合は、上長に確認のうえ、時差出勤などの予防策をとることを求める。
 卸では、2日にメディパルホールディングス(HD)が対策本部を設置し、情報集約の一元化などを図っている。医薬品供給の要である物流センターでは、サーモカメラを用いた体表面温度の測定を導入。作業時にはマスクやプラスチックグローブの着用を徹底し、感染リスクを抑える。出入り口に加え、休憩所や階段の手すりなどの消毒も行う。
 CROでは、EPSホールディングスが、業務に支障のない限りとして、在宅勤務と時差出退勤、勤務時間の弾力的運用を始めた。20人以上の社内会議の禁止、宴会の自粛などにも取り組む。アイロムグループも、病院の訪問前の検温やマスクの着用を実施中。医療機関での業務従事者に対しては、直行・直帰とする。

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