新潟大学の松本壮吉教授の研究チームは、組み換えBCG(rBCG)技術を利用した新型コロナウイルスワクチンの開発に乗り出す。BCGワクチン接種国では新型コロナウイルス感染症による死亡率などが低いという報告があることに着目。BCGワクチンが有効な可能性があるとして開発する。すでに豊富な実績を持つBCGの良さを前面に、安全性に優れたワクチン創出を目指す。

 東京大学医科学研究所(東大医科研)、国立感染症研究所(感染研)、日本ビーシージー製造との共同研究。期間は2021年3月までを予定する。日本医療研究開発機構(AMED)の支援の下、実施していく。

 松本教授らが保有するrBCG技術を活用する。BCGの遺伝子を組み換えることで目的とするたんぱく質を安定的に発現することができる。今回は新型コロナウイルスへの抗原たんぱく質を発現させ、有効性の高いワクチンとしていく。

 組み換えBCGワクチンの作成や品質管理、中和抗体産生能の検証などは新潟大が、ワクチンの効果検証に関しては東大医科研がそれぞれ担う。日本で唯一のBCGワクチンメーカーである日本ビーシージー製造は、組み換えBCGワクチンの試験製造と品質管理で協力する。

 結核に対する生ワクチンであるBCGの場合、40億人以上の接種実績があり、高い安全性を持つのが特徴だ。また、結核以外の疾患にも有効性を発揮し、長期間、免疫を担保するという働きも報告されている。

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