「新素材開発は昔、化学メーカーがチャレンジしていた。今は大企業にとってとっつきにくい分野」というのは多孔質新素材の開発を手がけるベンチャー企業のトップの声だ。エンジニアリングプラスチックや炭素繊維もそうだったが、性能は良いものの価格が高くて需要がなかなか伸びないのが悩みの種だった▼このトップが言うには、良いものができても製品化が決まっていないと投資をしない時代になってしまった。スケールアップできないとコストダウンもままならない。そうしているうちに海外勢に先を越されてしまう▼素材ベンチャーを取り巻く環境も恵まれている訳ではない。投資家がリターンを求めているのは当然だが、同じリスクを取るならビジネスモデルができていて途中で売却もできるバイオや創薬ベンチャーに資金が流れてしまう▼大規模な投資は難しいが、大企業と組めば活路が開ける。生産技術、品質管理などの面で豊富な経験があるので量産は任せて、自分たちは社会実装の推進に注力したいという▼その一つとして有望なのが高圧ガスボンベ。多孔質新素材の優れた吸着性能を生かし大幅なコンパクト化を実現する。このトップは「100年変わっていないガス業界の流通を変革したい」と意気込む。壁は高いだろうが新しい風を吹き込んでほしい。(20・10・30)続きは本紙で

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