日本化学工業協会の新会長に三菱ケミカル代表取締役の福田信夫氏が就任する見通しとなった。森川宏平会長(昭和電工会長)は任期満了にともない退任する。すでに内部調整を終えているもよう。5月上旬に開く理事会で内定し、5月下旬の総会を経て就任する。任期は1期2年。

 日化協の会長職は近年、三菱ケミカル、住友化学、三井化学、昭和電工の4社が順番で担い、次期は三菱ケミカルの当番。通例は社長が日化協会長に就任するが、三菱ケミカルホールディングスは事業会社に社長を置くことをやめており、三菱ケミカル代表取締役の福田氏に白羽の矢が立った。

 福田氏は技術系で、三菱ケミカルの石油化学部門で主軸だった高純度テレフタル酸(PTA)事業の経歴が長い。中国やインドに赴任経験もあり、海外事情にも知見が深い。現在は三菱ケミカルホールディングスの代表執行役エグゼクティブバイスプレジデントとしてサプライチェーンを統括している。

 このほかの化学団体では、石油化学工業協会は住友化学の岩田圭一社長が新会長に就く見通し。

 化学産業は2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、原料転換や資源循環などの新技術開発が本格化する大事な局面。一方でロシアによるウクライナ侵攻など不安定な国際情勢のなか、原油価格は高止まりし、資源を海外に依存する日本の競争力低下が懸念される。

 ウィズコロナも見据えて、日本の化学産業が構造転換を推し進めて世界でいかに存在感を発揮するか。新たな業界団体首脳の手腕に期待がかかる。

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