日本化学工業協会の淡輪敏会長(三井化学会長)は15日、オンラインで記者会見した。新型コロナウイルスの感染拡大に関して「化学産業として現時点で最も重要な課題は、工場の安全な操業を維持すること」と語り、製造、保安に携わる人員の安全確保に最大限努め、「防護服、マスク、消毒薬の需要増にも対応できるよう、化学製品の安全・安定提供を継続していく」と述べた。

 経済停滞による化学産業への影響について、事態は刻々と変化しているとしたうえで、「一番ダメージが大きいのは自動車関係。ICT関係に大きな落ち込みはみられない。生活関連物資は包装フィルムなどの需要が堅調。現時点では2020年度のポリオレフィンの需要を、自動車関連が多いポリプロピレンは15~20%減、ポリエチレンは生活関連の需要があるので5~10%減とみている」と語った。

 コロナ危機によって「供給体制のぜい弱性が露呈してしまった。マスクや医療用のガウン、フェースシールド、消毒用アルコールなどいろいろなところにいえる」とし、サプライチェーン全体で強固な供給体制を構築していくことを今後の課題にあげた。

 淡輪会長は22日の定時総会で2年の任期を終え、定例会見は今回が最後。海洋プラスチックごみ問題への社会的関心が急速に高まるなか、「海洋プラスチック問題対応協議会」の立ち上げや、廃プラスチックの熱回収の有用性に関するLCA(ライフサイクルアセスメント)などに取り組み、「国際化学工業協会協議会などで日本のマテリアルフロー図作成の歴史的経緯や現状を発信して、欧米における日本の取り組みの再認識につなげられた」と活動を振り返った。

 今後については「新たな課題、チャレンジングな課題が出現すればするほど、ソリューションプロバイダーとしての化学産業に対する社会からの要求や期待はますます大きくなってくるのではないか。新会長のもと化学産業がグローバルな社会課題の達成に大きく貢献し飛躍を遂げることを期待している」と述べた。

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