一週間に二度、東京から東海道新幹線に乗った。一度は静岡、もう一度は大阪が行き先だった。静岡は「ひかり」、大阪は「のぞみ」。出張の多い人や鉄道マニアでなくても、その行き先ならその列車種別だろうと見当はつく。ビジネスだと、だいたいそのどちらかに乗る▼東海道新幹線には「こだま」号もある。速達時代なので、こちらはビジネスユースは少なそうだが、観光にはこっちのほうが向いている。旅なのに急ぐ必要はあるまい。これが第一の理由。のぞみやひかりに先に行かせるために、いろんな駅で待ち合わせするので、その時間に各地の駅弁を買ったり、ホームを歩いてその外の風景を眺めやったりできるという理由も。できるだけ多くの駅に降り立ってみたいと思う人もいる。たとえ改札を出ずにホームを歩くだけだとしても▼ところで日本には1万近くの駅があることをご存じだろうか。平均的な日本人は一生の間にそのうちいくつの駅に降り立つのだろう。ちなみに小職は、関東の鉄道地図を自宅の部屋に貼って、利用した駅にはチェックマークをつけているが、関東2000超の駅のうち、わずか5%の100駅程度である▼せめて旅に出たら、もう少しいろんな駅に降り立ちたい。思えば、各地の駅弁を地元の駅で買うことが少なくなって久しいではないか。(20・2・26)

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