5月25日付で日本化学会会長に就任した三菱ケミカルホールディングスの小林喜光会長。政府の科学技術政策の司令塔である内閣府の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の有識者議員も務める。「無限の可能性」を秘める化学に「もっとロマンを感じてほしい」と言う。一方で、人類は新型コロナウイルスの感染拡大や自然災害などの猛威にさらされている。とくに気候変動問題(CO2問題)は深刻の度合いを増しており、存亡の危機に直面している。アカデミアと企業の協業なしにはこのような大きな課題は解決しない。今こそ、ともに「地球を救おう」と訴える。

産学の距離を近く

◆…日本化学会会長に就任されました。

 「昨年、経済同友会の代表幹事の任期も終わり、もともと研究開発の出身であることから、日本の化学研究に貢献できる本会のために少しでもお役に立ちたいとの気持ちから会長をお受けした。研究者のモチベーションをどのようにして上げるか、そのための方策としてアカデミアと企業の研究、事業の距離をいかにして近づけるかが課題だと感じている。研究者は新しいものを創造することにワクワクするものだ。研究者がそういった環境に身を置けるように多方面からサポートしていくことが化学会として期待されていることだと思う。研究者にとって、最後に大事なのはロマン。自らの研究開発の成果を社会実装して人類に貢献していくという思いに化学会としてどう応えられるかを考えていきたい」

 「化学のすばらしさをメッセージにして子供たちへ発信していくのも化学会の役割だ。毎年10月の『化学の日』関連イベント、来年大阪で開催予定の国際化学オリンピック(IChO)・日本大会などを通じて、サイエンスやケミストリーが次の時代を創っていくことを伝えていきたい」

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