「国語に関する世論調査」の結果を楽しく読んだ。「楽しく」というところがポイントだ。こういう調査結果に気負い込んで真向かうと、それについて語る口調が世憂い節になってしまったりすらからである▼とくに興味深かったのは敬語のところ。日本語を他の言語より難しくしていて、敬語の使い方がなっておらん、などという人が いつの時代も絶えない、その敬語である。やはり今回の調査でも、国語がどのような点で乱れているかの問いに対して、敬語の使い方を挙げる人が一番多かった▼そして、次の言い方は気になるか?の設問では「そうなってございます」「待たれてください」は8割以上の人が気になると答えている。気にはなるものの、では正しくはどう言うか、と問われて正しい敬語を答えられる人はどれだけいるだろう。かく言う自分もたいした自信はない▼正しく使うことが難儀で外国人にもわかりにくい敬語ではあるが、メールなどで正しく美しい敬語を使う人の文章にふれたりすると、それだけでその人への信頼が湧くということもある。だから個人的には敬語は必要だと思っているが、人さまの正しくない使い方をあげつらうのはよそうという立場である▼言葉、とくに口語は生き物だ。時代とともに変わりゆくものだろう。変わらなかったら逆にこわい。(20・9・30)

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