日産化学は10日、化学品事業の構造改革のため、メラミンの生産を停止すると発表した。中長期的な収益確保が困難と判断したため、メラミンおよび微粉砕グレードである微粉メラミンの生産を2022年6月に停止する予定。販売は在庫がなくなり次第、終了する。誘導品事業は今後も継続する。メラミン停止および対応策による効果により、23年度の化学品セグメントの売上高に16億円、営業利益に10億円のプラスの効果を見込む。

 同社はメラミンについて、独自製造法により富山工場(富山市)において1964年から生産を続けている。しかし近年、世界的にメラミンの生産能力が需要を大きく上回り、海外メーカーとの競争が激化して事業採算性は著しく悪化している。

 同社推定による世界の生産能力は需要の2倍に達し、同社を含め2社しかいない国内メーカーの生産能力は内需の3倍に達する。足元の価格は回復基調であるものの、世界の生産能力の7割を占める中国品の安値攻勢もあり、競争環境は厳しい。またプラントは経年劣化が進み、維持更新に必要な費用が増していることなどから、生産停止を決断した。

 2018~20年度の3年間トータルの化学品セグメントの売上高1019億円のうちアンモニア系製品は66%を占める一方、営業利益では58億円のうち12%にとどまる。アンモニア系製品中、売上高で最大のメラミンが赤字であり、事業全体の利益水準を押し下げていた。今後は、高付加価値品、高シェア品への資源集中投入による拡販を行う。メラミン以外の尿素の誘導品であるシアヌル酸やアドブルーは伸びており、チェーンとしてのバランスも維持できる見通し。

 メラミン誘導品である非ハロゲン難燃剤や潤滑剤となるメラミンシアヌレート、コンクリート用減水剤の「SMF」/「アクセリート」、メラミン樹脂は、原料を購入品に切り替えて事業を継続する。メラミンの生産停止により、温室効果ガス(GHG)排出量(CO2換算)は約2・6万トン(同社2018年度実績36・3万トンの約7%に相当)削減される見込み。

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