日立製作所は次期社長に小島啓二副社長が就任する首脳人事を決めた。

 6月23日付で社長兼COO(最高執行責任者)に就く。小島副社長は「入社当初から一貫して取り組んできたテーマがある。それはデータから価値を生み出すことだ」と強調する。同社が成長戦略の柱に据えるデジタルソリューション「ルマーダ」の開発・立ち上げに携わった。米国をはじめ各国にネットワークを有しており「社会イノベーション事業のグローバルリーダーと認知されるよう全力を注ぐ」と力を込める。

 東原敏昭社長は小島副社長の強みは「実行力にある」と強調する。1982年に情報分野の研究者として入社し「世界トップクラスのデジタル技術の開発に従事してきた」。研究所時代の米国駐在に加え、米日立ヴァンタラの米国人社員と一緒にルマーダを立ち上げるなど、グローバルなキャリアを積んでいる。「ルマーダのグローバル展開を加速するには最適な経歴」と評す。

 小島副社長は日立の使命は「データを使って社会インフラを革新し、人々の生活を支えることにある」とし「これから大きくデジタル化、情報化、ソフトウエア化が進む。自動車部品も典型的なソフトウエアになる」と語る。日立化成の売却に続き、日立金属もグループ離脱が決まり、残る事業はITや鉄道、パワーグリッド、自動車機器、分析機器などだが「デジタル化を加速できる事業領域を残したつもりだ」と語る。

 ルマーダ活用の一例としてエネルギーセクターにおけるパワーグリッドを挙げる。「デジタルデータを使うことで、ルマーダとのシナジーをたくさん発揮できる」。このほど1兆円で買収を決めた米グローバルロジックにも関連させ、活用領域を広げていく。

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