2019年のノーベル化学賞を受賞した旭化成の吉野彰名誉フェローが化学工業日報の取材に応じ、「環境問題に答えを出した国、企業が世界を制覇する」と語った。持続的な社会を構築する上で鍵を握る電気自動車(EV)や人工知能(AI)など新技術の融合に関して自ら旗振り役を担う意思も示し、「(環境問題の解決は)大きなビジネスチャンスであり、攻めの姿勢であるべき」と強調した。

 - ノーベル化学賞を受賞された現在の心境は。

 「ノーベル週間の行事で1番重きを置いていたのが『ノーベル・レクチャー』(記念講演)。リチウムイオン2次電池(LiB)の受賞理由に挙がった環境問題を解決するための具体的な道筋を盛り込んで、私なりのメッセージを世界に発信した。およそサイエンスの香りのない記念講演になったが、良かったと思っている」
 「印象に強く残っているのは授賞式後に現地の小中高4校を回った時の子供達の反応だ。通常は『感動した』と言われるだろうが、私の話を聞いた子供達からは『安心した』『ほっとした』と返ってきた。子供達にとって環境問題とは非常に重いテーマで、突き詰めると人間の存在に行き着き、『自分達がこのまま生きて良いのか』という哲学的な疑問を投げかける。実現に時間がかかっても、大人が道筋を示さなければならないと感じた」

 - 記念講演ではEVやAIが普及する未来社会の姿を示し「持続的な社会を構築するイノベーション(技術革新)が間もなく実現する。その中心的な役割をLiBが担う」と世界に向けて語りました。続きは本紙で

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