旭化成は11日、波長226ナノメートルの深紫外線発光ダイオード(LED)が、新型コロナウイルスを不活化し、人体への影響も少ないことを確認したと発表した。同社は高出力な殺菌用深紫外線LED製品を販売しているが、人体にも直接照射できる深紫外線LEDの実用化を目指す。

 コロナウイルスなどの殺菌手段として深紫外線LEDの有用性が注目されているが、旭化成の「Klaran(クララン)」など既存の深紫外線LEDは発光波長260~280ナノメートルと長波長なため、人体に直接照射しにくい。同社はクララン事業を手がける米子会社のクリスタルISと協力し、波長を下げた226ナノメートルの深紫外線LEDを開発。奈良県立医科大学の専用設備で、コロナウイルスの殺菌効果などを検証する試験を行った。

 実験の結果、226ナノメートルの深紫外線LEDは、約6秒間の照射でコロナウイルスを99・9%不活化し、既存の270ナノメートルと同等の効果が認められた。マウスの皮膚細胞を使った細胞障害性の評価では、障害を受けた細胞の数が明らかに270ナノメートルより少なかった。

 さらに技術開発を進めて、手指などにも安心して使える深紫外線LEDの製品化を目指す。現状は226ナノメートルだと発光出力が弱いのが課題という。今回の実験では、深紫外線LED100個を使用した。

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