旭化成は25日、新型コロナウイルスの世界的流行を受け、医療機器子会社の米ゾール・メディカルが人工呼吸器の増産を決定したと発表した。現状の生産量から約25倍となる月産1万台に増やす。必要な部品の調達にめどが立ち、このほど増産を始めた。米国では感染拡大の加速で人工呼吸器の需要が急増し、医療以外の異業種も参入して増産を急いでいる。
 米マサチューセッツ州チェルムスフォードの工場で人工呼吸器の増産を始めた。ゾールが製造販売している医療用、軍事用など3種類すべての人工呼吸器が対象。米国の部品メーカーに供給増を要請し、部品の調達にめどが立ったことから増産に着手した。通常時は月産200~250台だが、現在は同400台程度まで増やしたという。最終的には同1万台まで増産する計画だ。増産分を米国の医療機関のみに供給する予定ではないという。
 新型コロナ感染が急拡大している米国では、国を挙げて増産を急いでいる。米国食品医薬品局(FDA)は22日、人工呼吸器の製造許可に関する規制緩和を発表。販売承認ずみの医療機器であれば、改良や修正などの手続き(510〈k〉申請)を提出せずに変更できるうようにした。これにより素材や部品を未承認のものに代替することが可能になり、自動車メーカーなど異業種が相次いで製造に乗り出している。
 医療機器大手の米メドトロニックは米テスラ・モーターズ、GEヘルスケアは米フォード自動車、米ベンテック・ライフ・システムズはゼネラル・モーターズとそれぞれ人工呼吸器の増産に向けて提携。ゾールのジョン・レナート最高経営責任者(CEO)も23日付の発表で、航空産業や自動車産業、IT関連産業などの企業からも増産に向けた協力オファーがあったことを明かしている。

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