昭和電工は22日、髙橋秀仁代表取締役常務執行役員最高戦略責任者(CSO)が2022年1月4日付で社長に昇格する人事を発表した。髙橋氏は子会社、昭和電工マテリアルズの社長も兼務する。昭和電工の森川宏平社長、昭和電工マテリアルズの丸山寿社長はそれぞれ両社の代表権のある会長に就く。両社は23年の経営統合を予定する。髙橋氏は同日のオンライン記者会見で「統合会社としての最大のテーマは人材育成で、日本の製造業を代表する人材輩出企業にしたい」と抱負を述べた。

 髙橋氏は三菱銀行(現三菱UFJ銀行)、米ゼネラル・エレクトリック(GE)日本法人などを経て、15年昭和電工入社。黒鉛電極事業の立て直しに向けた独SGLの事業買収や、日立化成(現昭和電工マテリアルズ)買収を実務面で取り仕切った。森川氏は髙橋氏について「高い水準での論理性と決断力をバランスを持って備えている」と評したうえで「世界で戦える会社を目指すうえで最適と取締役会で判断した」と選任理由を述べた。

 髙橋氏は世界で戦える会社として「売上高1兆円を超える企業でEBITDAマージンが20%」という経営指標に加え、「サステナビリティー(持続可能性)は化学企業の務めであり、カーボンニュートラル(温暖化ガス排出量の実質ゼロ)にも貢献していく」と述べた。人材育成については「良い人材なくして良い事業は育たない」と語り、優秀な社員が活躍し、若手社員のモチベーションが高まる好循環を生み出すための人事評価制度の導入などを進める考えを示した。

 森川氏は最高技術責任者(CTO)を経て17年に社長に就任。同年に完了した独SGLの黒鉛電極事業の買収で成長への足がかりを掴むと、20年には国内化学企業のM&A(合併・買収)で最大規模の約9600億円を投じて日立化成を買収した。

 森川氏は社長在任中を振り返り「若い頃から世界トップレベルの会社にしたい気持ちを強く持ち、多くの人の支えや時の運もあって、そのステージが実際に見える位置まで来れた」と総括。そのうえで、「これからは決してたやすい道ではなく、世界トップレベルも約束された道ではないが、髙橋氏が持つ世界で戦う覚悟を発揮してもらい、成功への道を歩んでもらいたい」と語り、自身も取締役会議長として監督の立場からサポートする考えを述べた。

 〔髙橋秀仁氏=たかはし・ひでひと〕86年(昭和61年)東京大学経済学部卒、同年三菱銀行(現三菱UFJ銀行入行)。02年日本ゼネラルエレクトリック事業開発部長、08年モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパンシリコーン事業社長兼最高経営責任者(CEO)、13年GKNドライブラインジャパン社長、15年昭和電工シニアコーポレートフェロー、16年執行役員戦略企画部長、17年取締役常務執行役員、20年代表取締役常務執行役員最高戦略責任者(CSO)。東京都出身、59歳。

記事・取材テーマに対するご意見はこちら

PDF版のご案内

経営の最新記事もっと見る