昭和電工は16日、リチウムイオン2次電池(LiB)部材のセパレーター(絶縁膜)に無機微粒子を塗布する際のバインダー(接着剤)に使う水溶性高分子「ポリ-N-ビニルアセトアミド(PNVA)」の展開を本格化すると発表した。無機微粒子を均一に分散させる性質や競合する他の材料に比べて耐熱性が高く、すでに車載電池向けでも採用が始まっている。電気自動車(EV)などの普及が見込まれるなか、安全性や耐久性の高いLiBのニーズが高まるとみて事業拡大を狙う。

 昭和電工がセパレーター向けに展開するPNVAは「GE191シリーズ」。無機微粒子を均一に分散させる効果が高く、増粘性や力の伝わりの強弱で粘度が変化するチキソ性などの性質があり、セパレーターへの均一な塗工や工程改善につながる。

 一般にバインダーで使われるポリビニルピロリドン(PVP)やカルボキシメチルセルロース(CMC)などの水溶性高分子が200度Cの高温で劣化するのに対し、PNVAは塗膜が保持できる。PNVAは水素結合を多く持つ構造で、無機微粒子とも強固に結着する。LiBが異常発熱した際にセパレーターの形状が保持され、電極同士が接触してショートする危険性が回避できる。

 LiBの主要部材であるセパレーターは正極と負極を隔て、ショートや発火を防ぐ役割がある。無機微粒子を塗布した「塗布型セパレーター」をLiBに用いることで、異常発熱時の耐熱性を高めることができる。

《ケミカル マテリアル Japan 2020-ONLINE-》

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