時代の移り変わりとともに減っていくものは多々ある。この時期になると気になる年賀はがきだが、来年用の当初発行枚数は18億3000万枚で前年より1億1000万枚減るそうだ。SNSで手軽に連絡できる昨今、致し方ないことだろう▼一方、スマホカメラの進化とともに出荷台数が年々減少傾向にあったデジタルカメラはコロナ禍で回復しつつあるという。日常はスマホで撮ってデータを保存しても、子供の成長や記念日など大切なものはカメラできちんと撮影しプリントしたいということらしい▼レコードの生産枚数も2009年には約10万枚まで減少したが、そこから盛り返している。音楽配信が主流でCD自体も減っているなか、スマホなどでは物足りなく、アナログの音を楽しみたいという人が増えている。レコード盤の交換や針を落とすなど手間がかかる作業をともなうが、音楽を聴いている感じがしていいそうだ▼カメラやレコードを持つことは、かつてステータスの一つだった。時代の変化の中で衰退しても、ゆとり世代、Z世代の間で起こる昭和レトロブーム、またコロナ禍で新たな生活習慣も生まれる。便利さだけに目を向けるのではなく、人間らしい手間がかかる部分も、どこか新鮮に思える。時代が移っても変わらないニーズがある。予想するのは難しいが。(21・11・18)

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