2日未明に発生した携帯電話サービスの大規模通信障害は、個人の通話・通信にとどまらず行政サービスや物流、金融、自動車など幅広い分野に影響が出た。当該サービスを利用している1人として、つながらない不便さと同時に、あらゆるものがつながるネット社会の現状を垣間見た▼IT社会に慣れ切った我々は、その普通になった便利さを享受できなくなる時の落胆は大きい。こういう事態に遭遇すると、リスクに備えてアナログ的な部分も残しておいた方がいいと思ったりする。災害時における通信システムの遮断を想定し公衆電話の重要性も指摘されているが、街中でなかなかお目にかかれない▼人生においても普通が普通でなくなる時がある。進学・就職のために親元を離れたり、会社生活では職場の異動や転勤など。周りの環境が変わり、しばらくは不十分な生活を強いられるが、そのうち当たり前になる▼「人生を楽しむ秘訣は普通にこだわらないこと」とはアルベルト・アインシュタインの格言。だが、普通の尺度は人それぞれ。便利な普通の生活に慣れてしまった人が、あえて普通でない生活を選んだりもしないだろう。ただ、想定外のことは起こるべくして起こることを忘れてはいけない。その際の万全な対策が普通に思えるまで何度も練り直す必要がある。(22・7・6)

記事・取材テーマに対するご意見はこちら

PDF版のご案内

セミナーイベント情報はこちら

精留塔の最新記事もっと見る