小紙の新春トップインタビュー・シリーズも佳境に入った。この間、多数の経営トップに取材の機会をいただいた。激動の時代を生きる経営者にとって、最大の関心事は何だったのか。コロナを除けばやはり、昨年10月の菅首相による2050年の国内カーボンニュートラル達成宣言である▼「これで世の中が変わった」。「大変だが、何とか対応しなければならない」。化学企業は時代の変化を真摯に受け止めた。そのうえで、個々の企業としても50年のカーボンニュートラル達成を目指すことを相次ぎ宣言し始めた▼ただ、その中身を冷静に見れば、達成までの道のりを詰め切っているわけではない。まずは「困難な道のりを歩む覚悟を決めた」ということであり、具体的にどうやって達成するかといえば「新たなイノベーション」に期待する部分が大きいのだ▼では、最も必要とされるイノベーションとは何か。取材で明快に浮かび上がるのは「コストが安くて環境にやさしい電気を生み出すイノベーション」である。乗り越えるべき課題が明らかになれば、この国は強いはず。そう信じたいところではあるが…▼国会中継にチャンネルを合わせ、思わず頭を抱えた。この国の政治は、世の中とは反対の方向に時間が進んだようだ。せめてコロナ対策は未来志向でやって欲しい。(21・3・2)

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