トーマス・エジソンは不登校を経験していた。疑問に思ったことを先生に質問攻めしたところ、授業を妨害しているとして入学から3カ月で小学校を退学扱いに。好奇心豊かなエジソンだからこそといえる。後に1300件を超える発明を成し遂げるとは誰が想像したことだろう▼先日、2020年度に30日以上登校せず「不登校」とみなされた小中学生は19万人超で過去最多だったという文部科学省の調査結果が公表された。自殺した小中高生も初めて400人を超えた。コロナ禍による一斉休校などで生活環境が変化し、多くの子どもが心身に不調をきたした。憂慮すべき問題だ▼生活リズムが乱れ、学校行事なども制限されて登校する意欲がわかないケースが多い。それを裏付けるように、主な不登校の要因は「無気力、不安」が半数近くで最多だった。自殺の背景として家庭不和や親の叱責、精神障害は前年度より件数が増えており、テレワークの普及で親の在宅時間が増えたことも要因とみる▼感染者の減少で街中の雰囲気も変わってきた。コロナ禍に見通しがつけば、ここからが再生への第一歩となる。未来を支える子供たちが不安を抱えることなく、生き生きと過ごせる環境をつくることは大人の役目。それが、ひいては社会の発展にもつながる。化学週間にこう願う。(21・10・21)

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