もし〇〇なかりせば、日本食(和食)は成り立たぬ。〇〇にはなにを入れるだろう。コメ、しょうゆ、みそ、こんぶ、かつおぶし…いろいろ入りそうだ。と書いてくると、和食には大豆(ダイズ)が欠かせないことが分かる。しょうゆもみそも原料は大豆。日本食は大豆抜きには成り立たない▼大豆はしょうゆなど調味料の原料になるだけではないからなおさらだ。枝豆としてそのまま食べられたり、発芽したもやし、納豆、豆腐、豆腐の加工品である油揚げなど。これらがひとつも入っていない食事は日本では考えにくい▼ここに、大豆を使った新たな食品が存在感を増してきた。代替肉(植物由来肉、培養肉)だ。ある調査によると、2020年の世界市場は2500億円ほど。30年には1兆8000億円程度まで拡大するとみている。この代替肉をめぐり、関連製品も市場に広がってきた。結着剤としてのメチルセルロースや、大豆独特の風味を抑えるマスキングフレーバーなどだ▼こうして大豆の需要が拡大する見込みのなか、気がかりは国内自給率だ。農水省ホームページの「大豆のまめ知識」によると、サラダ油など油糧用を除いた食品用の自給率は25%。それに国産、輸入いずれも価格が高騰している。日本の食を根底から支える農産物の現状、心配せずにはいられない。(21・9・15)

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