東ソーは21日、新型コロナウイルスの検査キットの開発に着手したと発表した。検査時間に3時間半以上を要するPCR法とは異なる独自の検査技術「TRC法」を使い、自動で約50分以内に陰性か陽性かを判定できる試薬の開発を目指す。通常2年程度かかる実用化の期間をなるべく短縮できるようにする。
 東ソーが用いるTRC法は、RNA(核酸)を直接増幅し、ウイルス検査の対象となる核酸を光らせて検出する。核酸の精製や増幅などの工程を自動化し、簡便な作業で約50分以内に診断できる特徴がある。新型コロナウイルス検体を持つ国立感染症研究所などと連携し、早期の開発を目指す。
 TRC法はすでに結核やノロウイルスなどの検査に使われている。東ソーは専用の検査装置を大学病院や医療機関に納入ずみで、新型ウイルス向けも実用化できれば医療機関で診断できる。一方で承認を得るまでには2年以上を要する。厚生労働省はSARS(重症急性呼吸器症候群)流行時、検査キットの審査を特定的に加速した経緯もある。同社では再流行のリスクも踏まえて開発期間をなるべく縮める。
 新型コロナウイルスの検査をめぐってはPCR検査向けにロシュやキアゲンの試薬がすでに使われており、タカラバイオも供給を始めている。このほかに富士フイルムホールディングス子会社の富士フイルム和光純薬もPCR法検査向けの試薬開発に乗り出し、感染拡大にともなう試薬の供給不足に対応する考え。
 PCR法以外では栄研化学、デンカ、東ソーが開発に名乗りを挙げ、迅速PCR法について杏林製薬が検討している。

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