東レは、ポリプロピレン(PP)スパンボンドで、新型コロナウイルス感染症対策へのさらなる貢献を図る。エボラなどを想定した高いウイルスバリア性を保有する感染対策衣「LIVMOA(リブモア)5000」の知見などを活用し、機能およびコストの両面で社会ニーズに応える素材の開発を進める。開発した素材の防護服への応用を検討するほか、アイソレーションガウンへの転用も視野に入れる。マスク用PPスパンボンドの国内向け供給体制も引き続き強化する。10月からは最大で月約1億枚分の供給が可能となる見通しだ。

 東レは、使い切り型防護服「リブモア」シリーズを展開している。粉じん防護用のリブモア3000などはPP極細繊維不織布を電石化した独自の高性能シート「トレミクロン」をPPスパンボンドで挟んだ3層構造で、通気性にも優れる。製造や建設などの作業従事者がターゲット。

 同5000はトレミクロンは使用せず、高機能防水・透湿フィルムをPPスパンボンドで挟むことでウイルス、細菌への高い安全性(高バリア性・高耐水圧)と快適性(高透湿性)を両立した。血液バリア性、ウイルスバリア性がともにEN14216規格の最高レベルであるクラス6に適合したハイスペック製品となっている。

 東レでは、粉じん防護用での経験や同5000に係る技術を活用。製造現場での新型コロナ感染症対策などを念頭に、ニーズにあったスペックやコストを鑑みた素材開発を進める。防護服への応用も想定するほか、得られたノウハウのアイソレーションガウンへの転用もその延長線上に置いている。

 新型コロナ拡大以降取り組んできた、日本の大手マスクメーカーなどに供給するPPスパンボンドの供給能力拡充も継続する。中国などの海外製造拠点の活用のほか、滋賀事業場(滋賀県大津市)における不織布試験設備の量産対応をさらに拡大。4月に月約6000万枚分であった能力を10月には月約1億枚分に引き上げる計画だ。

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