独ビオンテック/米ファイザーや米モデルナが開発した新型コロナウイルスワクチンの登場で、メッセンジャーRNA(mRNA)を使うワクチン・医薬品への関心が高まっている。今後の市場拡大を期待して国内に受託サービス拠点を立ち上げる企業や、mRNAの原料事業などに進出する日本企業も出始めている。だが、mRNAワクチン研究の第一人者である東京大学医科学研究所の石井健教授は、「mRNAで沸き立っている人たちには、今あえて警鐘を鳴らしたい」と話す。欧米に出遅れた日本が取るべき戦略は「オールジャパンの国産化」ではなく、「グローバルアライアンス」と「ポストmRNA」を目指すことだという。

 - mRNAワクチンが注目され、日本でも事業参入する企業が増えています。

 「研究者からすると、『mRNAが大事だ』と今からいうのは、今になって『電気自動車が大事だ』と言い出すようなもの。下請けとして工場の需要はあるかもしれないが、イノベーションとして今からmRNAをやるのは遅いのではないか。数千億円規模の投資を続けてきた米モデルナや独ビオンテックに対して、数十億円のベンチャーが日本で出たとしても、よほど新しいモノが出ないと知財と開発力で負けるだろう。mRNAで沸き立っている人たちには、今あえて警鐘を鳴らしたい。次のイノベーションを起こせるのは、mRNAではない新しい方法を考え出せる人たちだ」


 - mRNAのサプライチェーンは海外に依存しています。産学官が連携して国産化することをどう考えますか。続きは本紙で

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