東洋炭素は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、いち早く対策チームを組織。国内外の各拠点、部署をつなぎ、ワンチームでコロナに立ち向かった。各国のメディアが伝える情報の精査や衛生用品の調達、配布を担当。テレワーク本格導入時には、通信インフラの整備や出社率などをチェックできる仕組みを構築した。アフターコロナを見据え、顧客との新たな接点創出にも力を注ぎ、グループ一丸で業容拡大していく。

 コロナ対策チームは2月の初頭に組織。統括、総務、調達、生産物流、営業の5部隊から形成され、トップに対策本部長として堤宏記取締役が就いている。また、各事業所単位でも感染拡大に応じた指揮系統を整備し、国内外全域をカバーする。

 対策チームの主な活動は、コロナ関連の情報収集と営業所や工場の操業状況の把握。社員への情報発信、衛生用品の配布なども手がけた。

 活動の根底には、東日本大震災など過去の災害から学びアップデートしたBCP(事業継続計画)対策と相互扶助の精神があるという。グループの社員や家族向けに購入したマスクは、独自に基準を設け、配布前に品質調査まで行う徹底ぶりだ。

 テレワーク実施の判断も同チームが担当した。拠点を置く各自治体、国の情報機関から発信される感染者数などを基にチームで、しきい値を設定し独自に判断。併せてテレワークのガイドラインを定めた効果で、それまで数%だったテレワーク利用率を2~5月で約80%まで引き上げた。

 展示会の開催中止や顧客の下に赴く営業スタイルから変革が迫られるなか、6月から顧客との接点強化策を推進。その一つがリアルタイムでのウェブ工場見学だ。現地の責任者がカメラを持ち、製造工程など工場内を案内する。すでに数社を紹介しており、「生産拠点は当社の強みが詰まった場所。リアルタイムで解説するため、参加者はその場で質問でき、臨場感があると好評」(堤取締役)と手応えを感じている。

 現在はメーン工場の詫間事業所(香川県三豊市)でのみ実施しているが、将来的にはグループ会社含め各拠点で開催できるよう整える。このほか、メールマガジンによる情報発信や映像を用いてカーボンの特性、軽さ、耐熱性などを伝える工夫にも力を注いでいく。

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