七十二候の「土脉潤起」。雪に代わって温かな春の雨が降り、寒さに固くなっていた大地が潤い始める季節になった。暖冬といわれる今冬。寒波が到来した年末年始は厳しい寒さを覚悟したものだが、暖かさを感じる日が確実に増えてきた▼春の訪れを告げる風物詩の一つが梅の花。すでにあちこちで見頃を迎えているが、各地で毎年催される梅まつりの中止・縮小が相次いでいる。昨年のこの季節には今のような状況になり、来年は完璧な形での開催を願ったのを思い出す。多少、自粛気分が緩んでいるようだが、気を引き締めて次の年こそはと願いたい▼「梅に鶯」は、日本の詩歌や絵画によく描かれている伝統的な絵になる良い取り合わせのことだ。ただ、実際の梅の木にはウグイスよりもメジロの方がよく止まっている姿が見かけられるというが、それでは語呂が悪い。やっぱり美しい声で春を告げるウグイスの方が日本人にはしっくりくる▼こちらは、美しい声で例えられるウグイス嬢。プロ野球の巨人軍が、主催試合で場内アナウンスを担当する新ウグイス嬢を42年ぶりに募集し、3人が決まったという。いかにも新鮮なアナウンスが、春を告げるウグイスと被りそうだ。待てよ、ウグイス嬢は女性アナウンサー限定の俗称。でも、この言葉はきっと使っていいのだろう。(21・2・18)

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