横浜市立大学の山中竹春教授、梁秀明教授らの研究グループは20日、新型コロナウイルス感染症感染1年後の抗体保有量に関する調査結果を発表した。6カ月後と比べると緩やかな減少傾向を示すものの、大きく低下していないことを明らかにした。一方、変異株に対する中和抗体の保有割合をみると、従来株と比較して低下傾向にあることも突き止めた。

 グループが開発した高感度試薬と迅速測定システムを利用し、感染6カ月後、1年後の抗ウイルス抗体と中和抗体の量を測定した。解析したのは3月までに採血した約250人分のデータで、6カ月の中和抗体陽性率が98%だったのに対して、1年後は97%と大きく減ってはいないことを確認した。とくに中等症者、重症者は感染阻害に必要な中和抗体量を6カ月後も保有していた。

 変異株に対しての抗体量を調べてみると、中等症者、重症者では6カ月後、1年後ともに大きな低下はなく、従来株ともそう大きな違いはなかった。ただ、軽症・無症状者は異なり、変異株に対する6カ月後、1年後の中和抗体陽性率が従来株よりも低いことが分かった。

 例えば、英国株では6カ月後で85%、1年後で79%と従来株を下回った。とりわけ顕著だったのが南アフリカ株で、6カ月後で69%、1年後で69%と従来株よりも約3割の落ち込みを示した。

 梁教授は、変異株での落ち込みがみられることについて「獲得したいくつかの免疫が機能していないとのイメージだ」と語った。今後も追跡調査を行っていく計画だ。

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