横浜市立大学の山中竹春教授、梁明秀教授らは、新型コロナウイルス変異株に対するワクチン有効性を評価する研究を開始した。ワクチン接種者から採取した血液を検体として利用。開発した高感度試薬と迅速測定システムによって、感染を防ぐ抗体の産生状況を調べる。複数の変異株を一括調査できる「パネル検査」として進め、効率的な日本人データの収集・提供を目指す。
新型コロナウイルスでは複数の変異株が生じているが、現在、実用化・開発されているワクチンで有効かについては明確に分かっていない。とくに日本人での有効性に関するデータはない状況にある。また、さらなる変異株の出現も予想されるなか、有効性を効率よく調べられる仕組みも必要だ。
梁教授が開発した中和抗体測定法と、3時間以内に複数株を調査可能な「hiVNTシステム」の2つを使って研究を進めていく。調べるのはワクチン接種後に体内でできる抗体と中和抗体が変異株に対応しているかどうか。とりわけ中和抗体の測定には、72時間から1週間かかるところを、短時間ですませられるのもポイントだ。
ワクチンの変異株への有効性が分かれば、個人や社会での免疫獲得の詳細を明らかにすることができ、社会活動の回復を図るうえでの重要な判断材料となる。併せて、新たな変異株出現時に評価が行える体制の構築にもつなげていく。