欧州医薬品審査庁(EMA)は20日、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が開発した新型コロナウイルスワクチンについて、血栓症と血小板減少を引き起こす可能性があるとの調査結果を発表した。ただし血栓が起きるのは極めてまれだとし、引き続きすべての年齢層に対する接種を推奨した。これを受けてJ&Jは欧州向け供給の準備を再開した。安全性評価のため接種が中断されている米国でも、23日に専門家らが安全性を議論する。

 EMAが調査したのは、血小板減少を併発する血栓症とワクチンの因果関係。血小板減少とともに脳や腹部、動脈などで血栓症を起こした症例が米国から8例報告された。すべての症例が60歳未満で、多くが女性だった。死亡例も1例あった。

 EMAは、血小板減少をともなう希少な血栓症をJ&J製ワクチンの副反応として認定し、警告を追加すべきとした。ただし頻度は極めて低いことから「ワクチン接種による総合的なメリットがリスクを上回る」とし、接種を推奨する方針は変えない。また、先ごろ同様の血栓症リスクが報告された英アストラゼネカ(AZ)製ワクチンと症例が「非常に類似している」とした。

 J&Jは調査結果が出るまで欧州向けの出荷を中断してきたが、再開する。欧州当局は接種を支持する立場だが、AZ製のように接種対象を制限したり、見合わせる国が出てくる可能性はある。

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