やはり、と言うべきか。日本でも急速に感染が拡大しているコロナ変異株のオミクロン。第6波の感染者数がどう推移するのか、蔓延防止策の期間がいつまで続くのか、国民が身構えている▼オミクロン株に対する欧米と日本の考え方は大きく違うようだ。1日の感染者数が初めて20万人を超えた英国では現地時間の4日、ジョンソン首相がさらなる規制強化やロックダウンなどを考えていないと表明。さしたる対策強化を実施しないままクリスマスを楽しんだ米国では、年明け早々に1日の感染者数が100万人を突破した。日本人の多くは違和感を感じているはずだ▼すでに国民の多くが2度のワクチン接種を終え、デルタ株に比べて重症化する割合が少ないとのデータが得られつつあることなどから「ウイルスとの共存」が可能と判断したという。軽症で済むのなら、むしろ多くの人が感染することで集団免疫を獲得し、結果としてコロナが沈静化することを期待しているのだろうか。日本でも同じような事態となり、それでも政府が規制強化を打ち出さない場合、国民は怒り狂うだろうか▼さて、欧州委員会は新年早々、原子力と天然ガスについて、脱炭素に寄与するクリーンなエネルギーに認定した。「正しい」判断とは何か。日本も冷静かつ現実的に考える必要がありそうだ。(22・1・11)

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