武田薬品工業、米アッヴィ、米アムジェンは、新型コロナウイルスに対する治療薬の臨床試験プログラム「I-SPY COVID」を開始すると発表した。各社が保有する3つの医薬品を転用し、重症患者に対する有効性を検証する。製薬企業が連携したコロナ治療薬開発の一環。各社の候補化合物を同時に評価することで、最短での実用化を図る。

 高流量酸素療法を必要とする新型コロナ重症入院患者を対象に、ほかの疾患に対する治療薬として開発・販売されている化合物3剤の有効性を評価する。使われるのは、アムジェンが米セルジーンから承継した炎症性疾患治療薬「アプレミラスト」(製品名・オテズラ)、武田薬品が買収したシャイアーの遺伝性血管性浮腫(HAE)治療薬「イカチバント」(フィラジル)、アッヴィの免疫調整薬「セニクリビロク」。

 アプレミラストは免疫反応により生じる炎症を抑制し、イカチバントは肺水腫の症状を改善し、セニクリビロクは組織への単球遊走を阻害する作用がある。これらの特性が、重症患者に多い急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に対して効果が期待できるとして試験を開始した。

 目標症例数は約1500例。このほど最初の症例登録を行った。各剤を投与するグループに分け、新型コロナ治療薬「レムデシビル」と併用投与する。主要評価項目は、重症度の改善・維持にかかった時間。米国で実施する。

 臨床試験は、新型コロナ治療薬などの開発加速を目的に立ち上げられた製薬各社の連携「COVID R&Dアライアンス」で計画された。製薬20社以上が参加し、日本からはエーザイも加わっている。

試読・購読は下記をクリック

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

新型コロナウイルス関連記事一覧へ

ライフイノベーションの最新記事もっと見る