武田薬品工業、米アムジェン、ベルギー・UCBは1日、新型コロナウイルス感染症治療薬の臨床試験プログラム「COMMUNITY試験」を開始したと発表した。各社が保有する免疫調整系の医薬品3つを転用し、入院患者に対する有効性を検証する。製薬各社が連携したコロナ治療薬開発の一環。複数の化合物を同時に評価することで早期実用化を図る。

 ほかの疾患に対する治療薬として開発・販売されている化合物3剤について、新型コロナ治療薬としての有効性を評価する。検討するのは、アムジェンが米セルジーンから承継した炎症性疾患治療薬「アプレミラスト」(製品名・オテズラ)、武田薬品が買収したシャイアー由来の「ラナデルマブ」、UCBが開発している「ジルコプラン」。ラナデルマブは海外で遺伝性血管性浮腫(HAE)治療薬として販売されているが、炎症を軽減する効果も指摘されている。ジルコプランも急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の原因となる過剰免疫を抑制する可能性がある。

 まずアプレミラストの投与を開始し、数週間以内にラナデルマブなどの投与も始める。治験薬の効果などに応じて治験薬を追加・削除できる「アダプティブ試験」として行い、抗ウイルス剤や他の免疫調整薬なども追加される可能性がある。米国や中南米、ロシアなどで、入院患者約700例を組み入れる予定。

 臨床試験は、新型コロナ治療薬などの開発加速を目的に設立された製薬企業20社超の連携「COVID R&Dアライアンス」で計画された。

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